昨年担当の社会調査実習の成果報告書『東京の意味――地方出身者の「上京」に関する意識調査』が国立国会図書館の検索システムNDL-OPACに載りました(『日本全国書誌』には本年4月17日発行の2009年第15号に掲載済)。以下のURLです。
http://opac.ndl.go.jp/recordid/000010050268/jpn

検索でヒットするかぎりから判断すると、東洋大学の社会調査実習報告書で国立国会図書館に納本したのはわれわれが初めてかもしれません。それらしきものがだいぶまえに1件ありますが、改訂版となっているので学部学生の調査報告書との確証はないですし。
本調査は、地方出身で現在東京ないし近郊に住む20~30代の男女38人に、上京までの経緯や上京後の生活、地元との現在の関係や今後の展望などについてインタビューをおこない、分析するというものでした。県民性やご当地グルメ、方言などの地方ブームの一方、地方格差と地方自治の問題がこれまで以上にクローズアップされ、個性的な首長が各地に誕生し、ふるさと納税制度も昨年からはじまりました。じつは昨年頃~一昨年頃から、高度成長期・バブル期につづく東京への第三の人口流入の波が押し寄せてもいます。景気の極端に良いときと悪いときに、東京の求心力はより目立ちます。
ただ従来、東京への地域移動に関する研究はマクロな観点からのものが主でしたが、現実の個々の地方出身者たちが上京という行為に込めた想いは、数値だけでは表すことのできないそれぞれの多様な人生模様を映し出しているでしょう。東京に吸い寄せられた人々の語りに耳を傾けることで、この都市に与えられた「社会的意味」が浮かび上がってくるはずなのです。
このようなわけで、もともと個人研究のテーマとして長年あたためていたもののひとつなのですが、東京タワー50周年ということもあり、調査実習の受け持ちを機に実査に移してみました。学生たちの関心も高く、わたしにとっても実りの多い調査になりました。今後もこのテーマは追っていくつもりです。
それにしても、40名近い個性的な学生たちで、社会調査実習としては相当の大所帯ながらまとまりもよく、本当に楽しい1年でした。そもそもこれだけの人数のメンバーのほとんどが、12000字もの分量の原稿を、自分たちで決めた指定の体裁に整え、予想以上のクオリティをもった内容で、1月半ばというきわめて早い締め切りにちゃんと遅れず提出して編集作業までできたこと自体がすごかったです。同僚の先生方には驚かれました。
あえて欲を言えばもう少し文章の推敲作業に時間をとりたかったですが、それでもこの短期間でこの人数で、量(A4サイズ40字×40字で全434頁!)もさることながらこれだけの質の分析ができたのは申し分がありません。各自の問題設定と議論は学術的にきわめて興味深いものでした。
ご協力いただいたインフォーマントの皆さんならびに社会調査室スタッフ各位にこの場を借りてあらためて感謝を申し述べるとともに、学生たちの労をねぎらいたいと思います。
みなさんまた飲みましょう。
http://opac.ndl.go.jp/recordid/000010050268/jpn

検索でヒットするかぎりから判断すると、東洋大学の社会調査実習報告書で国立国会図書館に納本したのはわれわれが初めてかもしれません。それらしきものがだいぶまえに1件ありますが、改訂版となっているので学部学生の調査報告書との確証はないですし。
本調査は、地方出身で現在東京ないし近郊に住む20~30代の男女38人に、上京までの経緯や上京後の生活、地元との現在の関係や今後の展望などについてインタビューをおこない、分析するというものでした。県民性やご当地グルメ、方言などの地方ブームの一方、地方格差と地方自治の問題がこれまで以上にクローズアップされ、個性的な首長が各地に誕生し、ふるさと納税制度も昨年からはじまりました。じつは昨年頃~一昨年頃から、高度成長期・バブル期につづく東京への第三の人口流入の波が押し寄せてもいます。景気の極端に良いときと悪いときに、東京の求心力はより目立ちます。
ただ従来、東京への地域移動に関する研究はマクロな観点からのものが主でしたが、現実の個々の地方出身者たちが上京という行為に込めた想いは、数値だけでは表すことのできないそれぞれの多様な人生模様を映し出しているでしょう。東京に吸い寄せられた人々の語りに耳を傾けることで、この都市に与えられた「社会的意味」が浮かび上がってくるはずなのです。
このようなわけで、もともと個人研究のテーマとして長年あたためていたもののひとつなのですが、東京タワー50周年ということもあり、調査実習の受け持ちを機に実査に移してみました。学生たちの関心も高く、わたしにとっても実りの多い調査になりました。今後もこのテーマは追っていくつもりです。
それにしても、40名近い個性的な学生たちで、社会調査実習としては相当の大所帯ながらまとまりもよく、本当に楽しい1年でした。そもそもこれだけの人数のメンバーのほとんどが、12000字もの分量の原稿を、自分たちで決めた指定の体裁に整え、予想以上のクオリティをもった内容で、1月半ばというきわめて早い締め切りにちゃんと遅れず提出して編集作業までできたこと自体がすごかったです。同僚の先生方には驚かれました。
あえて欲を言えばもう少し文章の推敲作業に時間をとりたかったですが、それでもこの短期間でこの人数で、量(A4サイズ40字×40字で全434頁!)もさることながらこれだけの質の分析ができたのは申し分がありません。各自の問題設定と議論は学術的にきわめて興味深いものでした。
ご協力いただいたインフォーマントの皆さんならびに社会調査室スタッフ各位にこの場を借りてあらためて感謝を申し述べるとともに、学生たちの労をねぎらいたいと思います。
みなさんまた飲みましょう。