本日、本学の卒業式が行われました。曇りで、少しだけ雨がパラつきましたが、幸いにして本降りにならずに済みそうです。ただ、三寒四温が続いていて若干薄ら寒く、この時期にしては珍しく、桜がまだ咲きかけていません。
拙ゼミ参加者からは今年、4名の卒業生が巣立っていきます。公式のゼミ生3名と、他専攻から来てくれていた学生1名で、それぞれ個性がかなり際立っていたため、わたしも日々体力がいりましたし、またときにはやらかしてわたしが怒ることもありましたが、そのぶんみな勉学意欲がきわめて旺盛で、普段のゼミも大変活発であり、さらには合宿での珍道中ぶりも含めて、いろいろな意味で思い出深い年度となりました。卒業論文も、とりわけうち2つは、おたがいのおそらく内心猛烈な「切磋琢磨」の末、それぞれ13万字と10万字という、拙ゼミ過去最大の大作となり、内容的にも、修士論文を超えて博士論文として提出されてきてもおかしくない出来でした。テーマは奇しくもそれぞれ沖縄と北海道という日本の南と北の端であり、現地での複数回のフィールドワークや、さらには東京の外交史料館にまで足を運ぶなど、フットワークの軽さも大変優れていました。
ちなみにこの2人はヨーロッパに留学しており、いちど外に出てみた経験が、今回の卒論を書く上でベースとなったように思います。残る1人のゼミ生も春から進学し、まもなくスラブ語圏の国に留学予定です。彼女もまた現地でのさまざまな出会いや出来事を経て、修士論文を書き上げる基盤を作ってくるでしょう。
ところでじつは、ゼミ生は他にも2人います。アジアへの留学を経てちょうど帰国した学生、ならびに、まだしばらくヨーロッパで研鑽を積む学生とです。彼らも本来なら今年度で卒業でしたが、最短4年で出ていくだけが学生生活ではないということで、3年生のときに思い立って留学を選びました。とてもいい選択だったと思います。
ゼミ生全員が留学した/している/する、というかなり特殊な代でした。つねに個性がぶつかり合い、刺激し合い、ときに励まし、ときに競い合った結果の、創発的な現象と言えるかもしれません。今日、社会情勢は日本も世界も明らかに不安定であり、先行きも決して楽観視できるわけではありませんが、むしろだからこそ、従来型の安定を求めてただ与えられた仕事や業務を組織のなかで右から左にこなすだけの、しかしそれでいてプライドだけは高い「末人」的な生き方ではなく、これまでのさまざまな経験を忘れずに、自分がいまいるところから一歩踏み出す勇気をつねに心に抱きつつ、各自の分野で活躍してほしいと願っています。
さて本学に着任して5年。良いことも悪いことも、本当にいろいろなことありました。わたしもここでいったんリセットし、自分が本当にすべきことは何か、初心に返って、彼/彼女たちに負けないようネジを巻き直したいと思います。
追記
熊本地震の影響で、今年度の学位伝達式は五高記念館で開催できなかったの残念です。






追記2
上の記事を書いてすぐの謝恩会後の二次会で、ゼミ生からの寄せ書きつきの、ゼミ活動アルバムをもらいました。それぞれのコメントが嬉しく、また写真も懐かしくこれまでを振り返りました。他のプレゼントもありがとう。使わせてもらいます。








