一般社団法人社会調査協会の機関誌『社会と調査』最新第17号に、拙事例報告論文「東日本大震災と福島第一原発から遠く離れて――『自主避難者』に関する熊本大学文学部での社会調査実習」が掲載されました(97-103頁。Amazon販売ページはこちら)。
ちょっと長めのタイトルとサブタイトルが示すとおり、2011年3月の震災と原発事故で熊本に自主避難されてこられた方々に対して、2014年度の社会調査実習で、インタビュー調査を実施しました。そのとき作成した報告書『「自主避難」という選択――熊本県内の震災・原発避難者の意識と実態』の出来が、社会調査協会より評価されて、事例報告論文の執筆依頼をいただいたという次第でした。
全国の大学で実施される社会調査実習の数は、毎年数百は下らないと思いますが、事例報告の対象に選ばれるのは年間たった4つほど。本実習は、改訂版を作成するなどいろいろたいへんな作業も続きましたが、当時のメンバーの地道で真面目な頑張りが認められたことは、担当教員として本当に嬉しいかぎりです。当時を振り返りつつ、あらためて彼らの苦労をねぎらいたいと思います。また、実査や改訂の作業にあたっては、インフォーマントの方々はじめ、本当に多くの皆さまから多大なご協力やお力添えを賜りました。この場を借りて再度深く御礼を申し上げる次第です。そして、同実習を事例報告対象に選んでくださった『社会と調査』編集委員会の先生方にも、心より感謝を申し上げます。
なお、わたしが『社会と調査』誌より事例報告執筆のご依頼をいただいたのは、じつはこれで2回目です。確認したわけではありませんが、これまでに事例報告を2回執筆した方はいないように思います。ですから、まさか自分が2回も執筆の機会をいただけるとは夢にも思っていなかったので、驚くとともに、たいへん光栄に感じています。とはいえ、いずれについても私の手柄ではなく、あくまで学生たちの努力の賜物です。わたしはただただ学生にめぐまれました。
ちなみに1回目の事例報告は、「東京の地方出身者を調査する――東洋大学社会学部社会学科イブニングコースでの社会調査実習」というタイトルで、『社会と調査』第6号に掲載していただきました(ダウンロードはこちら)。ポスドクでまだ三十歳を少し超えたくらいの駆け出しの頃、2008年度にピンチヒッター的に同大学で初めて非常勤講師のお仕事をさせていただいたときの実習で、そのときは『東京の意味――地方出身者の「上京」に関する意識調査』という、やはり分厚く立派な報告書を学生たちが作成してくれました(ダウンロードはこちら)。
そう思うと、はからずも2008年と2014年のどちらの調査実習でも、地域移動をテーマにしていたことになります。ただ、そのたった6年のあいだにも、日本社会は大きく変化したような気がします。それはもしかすると、2008年度の調査実習では地方から東京への移動、逆に2014年度の調査では(多くの場合で)首都圏から地方への移動というように、扱った移動者の発着点が正反対になったことにも示唆されているのかもしれません。むろん依然として東京一極集中は揺るぎませんが、それでも東京と地方の関係は、今日、以前とは少し違ったかたちで眺められるようになったと感じなくもありません。
ともあれ、上記のように事例報告の執筆が私自身2回目で、しかもご依頼を受けてほどなく熊本地震が発生したこともあり、事例報告の一般的な形式とは少し趣向を凝らして、実習そのものについての記述を挟むかたちで、プロローグとエピローグの章を設けました。字数制限のこともあり、書き切れなかったことも多々ありますが、今回の事例報告が、社会調査実習を担当されるとくに若い方々に何かの参考になれればと願う次第です。
※ ちなみに2012年度に熊本大学で担当した実習では、大学生の就職活動をテーマに、報告書『就活の今――新就職氷河期における就活生の意識と実態』を作成しました。こちらも力作であり、ダウンロード可能です。
ちょっと長めのタイトルとサブタイトルが示すとおり、2011年3月の震災と原発事故で熊本に自主避難されてこられた方々に対して、2014年度の社会調査実習で、インタビュー調査を実施しました。そのとき作成した報告書『「自主避難」という選択――熊本県内の震災・原発避難者の意識と実態』の出来が、社会調査協会より評価されて、事例報告論文の執筆依頼をいただいたという次第でした。
全国の大学で実施される社会調査実習の数は、毎年数百は下らないと思いますが、事例報告の対象に選ばれるのは年間たった4つほど。本実習は、改訂版を作成するなどいろいろたいへんな作業も続きましたが、当時のメンバーの地道で真面目な頑張りが認められたことは、担当教員として本当に嬉しいかぎりです。当時を振り返りつつ、あらためて彼らの苦労をねぎらいたいと思います。また、実査や改訂の作業にあたっては、インフォーマントの方々はじめ、本当に多くの皆さまから多大なご協力やお力添えを賜りました。この場を借りて再度深く御礼を申し上げる次第です。そして、同実習を事例報告対象に選んでくださった『社会と調査』編集委員会の先生方にも、心より感謝を申し上げます。
なお、わたしが『社会と調査』誌より事例報告執筆のご依頼をいただいたのは、じつはこれで2回目です。確認したわけではありませんが、これまでに事例報告を2回執筆した方はいないように思います。ですから、まさか自分が2回も執筆の機会をいただけるとは夢にも思っていなかったので、驚くとともに、たいへん光栄に感じています。とはいえ、いずれについても私の手柄ではなく、あくまで学生たちの努力の賜物です。わたしはただただ学生にめぐまれました。
ちなみに1回目の事例報告は、「東京の地方出身者を調査する――東洋大学社会学部社会学科イブニングコースでの社会調査実習」というタイトルで、『社会と調査』第6号に掲載していただきました(ダウンロードはこちら)。ポスドクでまだ三十歳を少し超えたくらいの駆け出しの頃、2008年度にピンチヒッター的に同大学で初めて非常勤講師のお仕事をさせていただいたときの実習で、そのときは『東京の意味――地方出身者の「上京」に関する意識調査』という、やはり分厚く立派な報告書を学生たちが作成してくれました(ダウンロードはこちら)。
そう思うと、はからずも2008年と2014年のどちらの調査実習でも、地域移動をテーマにしていたことになります。ただ、そのたった6年のあいだにも、日本社会は大きく変化したような気がします。それはもしかすると、2008年度の調査実習では地方から東京への移動、逆に2014年度の調査では(多くの場合で)首都圏から地方への移動というように、扱った移動者の発着点が正反対になったことにも示唆されているのかもしれません。むろん依然として東京一極集中は揺るぎませんが、それでも東京と地方の関係は、今日、以前とは少し違ったかたちで眺められるようになったと感じなくもありません。
ともあれ、上記のように事例報告の執筆が私自身2回目で、しかもご依頼を受けてほどなく熊本地震が発生したこともあり、事例報告の一般的な形式とは少し趣向を凝らして、実習そのものについての記述を挟むかたちで、プロローグとエピローグの章を設けました。字数制限のこともあり、書き切れなかったことも多々ありますが、今回の事例報告が、社会調査実習を担当されるとくに若い方々に何かの参考になれればと願う次第です。
※ ちなみに2012年度に熊本大学で担当した実習では、大学生の就職活動をテーマに、報告書『就活の今――新就職氷河期における就活生の意識と実態』を作成しました。こちらも力作であり、ダウンロード可能です。