
渡辺靖『アメリカン・デモクラシーの逆説』岩波新書,2010年.
同著者の本としては『アフター・アメリカ』が生き生きとしていて好きですが、本書「あとがきにかえて」に引用されていた、全米で有名なプロコメディアンにして55歳の学生ジミー・ティングルによるハーバード大学卒業式スピーチが、あまりにもユーモアに溢れ、またアメリカの良い面を表していていいな、と思ったので、ふとここに書いておきます。ちなみに本書でのトクヴィル『アメリカのデモクラシー』からの引用によれば、「アメリカ人の重大な特典は、他の諸国民よりも文化的に啓蒙されていることではなく、欠点を自ら矯正する能力を持っていることにある」そうです。たしかにそう思います。
ちょうどいま、市街地の喫茶店でこれを書いていて、ガラス越しに、目の前を安保法制反対のデモが通りすぎました。けっこう長い列でした。昨今、本当にいろいろな事案がありますが、体制側や運動側などを問わず、トータルで見たときに、「日本のデモクラシー」ははたしていかなるものか。個人的には、つねづねもっとユーモアがほしいと思っています。自らで欠点を矯正する力は、そういうところに現れるのではないでしょうか。
以上、何のユーモアもなくて申し訳ない。