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 この週末、知覧特攻平和会館富屋食堂(鹿児島県南九州市)、ならびに海上自衛隊鹿屋航空基地史料館(同県鹿屋市)に、ゼミ生たちとフィールドワークの合宿に行ってきました。一昨年の水俣、昨年の台湾につづいて、今年で3回目です。
 今年の前期は、アーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』やユルゲン・ハーバマス「信仰と知識」(『引き裂かれた西洋』所収)、大貫恵美子『ねじ曲げられた桜――美意識と軍国主義』その他のナショナリズム関連の文献、また、家族社会学やダークツーリズムの論文などを読んで、上記の目的地を訪れたわけですが、たまたまとはいえ集団的自衛権の閣議決定から数日というタイミングであり、きわめて時事的でアクチュアルな合宿となりました(ちなみに今年はサラエボ事件~第1次世界大戦から100年でもある)。
 合宿で学んだ内容を詳しくご紹介している余裕がないのは残念ですが、戦争、そして特攻というものを展示する際の「選択性」がどのようなものか、何をどのように見せ、また何をなぜ見せていないのか、そして、それらの施設のあいだでどのような視点の差異があるのか、施設としてのあり方の違いはどのようなものか、さらに、このタイミングでそれらの施設を訪れるのはどのような人たちなのかを、かぎられた時間ではありましたが、肌身で感じることができ、たいへん有意義でした。
 知覧特攻平和会館に行かれたことのある方や行かれたいという方は、少なくないと思いますが、その方は、ぜひ上記の『ねじ曲げられた桜』などをお読みいただき、またあわせて富屋食堂や海上自衛隊鹿屋航空基地資料館にも行かれることを、強くおすすめします。知識と比較の視点を持てば、見えてくるものがガラッと変わってくるでしょう。
 ちなみに、もしこれから上記の施設に行かれるという方がいらっしゃいましたら、ぜひ十分な時間的余裕を持って訪問されることをおすすめします。知覧特攻平和会館と海上自衛隊鹿屋航空基地資料館は、展示資料数が尋常ではなく、かつ敷地(戦中のかつての敷地も含めて)全体がおそろしく広大です。また、富屋食堂は小さいながらもたいへん見応えがあり、時間を忘れます。

 ともあれ、昨今、政治や世論の動向、またいわゆる東アジア地域の関係は、なかなか難しいものがあり、ゼミ生たちの意見や考えもさまざまですが、たんに目の前に提示されているものをそのまま受けとるのではなく、その背後に隠されているものや選択からこぼれ落ちたものにまで想像力をめぐらせ、物事をいっそう複眼的・多角的に見られるようになってほしいと願います。今回、バスや鉄道や船を乗り継ぐハードなスケジュール、また帰りは大雨で予定していた電車がストップするなどもありましたが、学生たちはよくがんばりました。こういう経験を少しずつ積んで、来たる夏休みには、各人でさらにいっそう大きく羽ばたいてください。

ちなみに個人的には、指宿にて、幼少期からの念願の砂蒸し風呂に入ることができて勝手に万感の思いです。また、お世話になった民宿たかよしさん(お食事が本当に美味しかった!)、たいへん詳しい説明をお聞かせくださった海上自衛隊鹿屋航空基地資料館のご担当の方に、厚く御礼を申し上げます。

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07/08, 09:07