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遅ればせながらの報告ですが、去る7月13日から19日まで横浜で開かれた、世界社会学会(International Sociological Association)の第18回世界会議に参加して、1つ発表をしてきました。

発表タイトルは "Language As a Zombie Category of Sociological Theory" というもので、聴衆には、とても面白いと言ってくれた人、怒り出した人、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした人と、さまざまな反応があり、そういう意味ではまずまずの手応えを得ることができました。

それはともかく、今回、会期中ほぼフルに参加しましたが、世界中から集まったいろいろな人たちと、幕間での立ち話や酒を飲みながら、あれこれフランクに話ができたのが何よりも楽しく、また貴重な経験となりました。次回もまた必ず参加しようと思います。

大会期間を通してたくさんの人にお世話になりましたが、なかでも、油井清光先生、赤堀三郎さん、高橋徹さん、池田祥英さん、小山裕さん、また、Herr Ulrich Beck、Frau Eva Buchinger、Mr. Horng-luen Wang、Mr. Matthew Hayes、"Graz-Mannschaft" (Matthias, zwei Christian, Rafael)、Mr. Eric L Hsu、Mr. Albert Tzeng、Mr. Surichai Wun'Gaeo、そして、ピースサイクル神奈川の皆さまに、心より御礼を申し上げます。

 この週末、知覧特攻平和会館富屋食堂(鹿児島県南九州市)、ならびに海上自衛隊鹿屋航空基地史料館(同県鹿屋市)に、ゼミ生たちとフィールドワークの合宿に行ってきました。一昨年の水俣、昨年の台湾につづいて、今年で3回目です。
 今年の前期は、アーネスト・ゲルナー『民族とナショナリズム』やユルゲン・ハーバマス「信仰と知識」(『引き裂かれた西洋』所収)、大貫恵美子『ねじ曲げられた桜――美意識と軍国主義』その他のナショナリズム関連の文献、また、家族社会学やダークツーリズムの論文などを読んで、上記の目的地を訪れたわけですが、たまたまとはいえ集団的自衛権の閣議決定から数日というタイミングであり、きわめて時事的でアクチュアルな合宿となりました(ちなみに今年はサラエボ事件~第1次世界大戦から100年でもある)。
 合宿で学んだ内容を詳しくご紹介している余裕がないのは残念ですが、戦争、そして特攻というものを展示する際の「選択性」がどのようなものか、何をどのように見せ、また何をなぜ見せていないのか、そして、それらの施設のあいだでどのような視点の差異があるのか、施設としてのあり方の違いはどのようなものか、さらに、このタイミングでそれらの施設を訪れるのはどのような人たちなのかを、かぎられた時間ではありましたが、肌身で感じることができ、たいへん有意義でした。
 知覧特攻平和会館に行かれたことのある方や行かれたいという方は、少なくないと思いますが、その方は、ぜひ上記の『ねじ曲げられた桜』などをお読みいただき、またあわせて富屋食堂や海上自衛隊鹿屋航空基地資料館にも行かれることを、強くおすすめします。知識と比較の視点を持てば、見えてくるものがガラッと変わってくるでしょう。
 ちなみに、もしこれから上記の施設に行かれるという方がいらっしゃいましたら、ぜひ十分な時間的余裕を持って訪問されることをおすすめします。知覧特攻平和会館と海上自衛隊鹿屋航空基地資料館は、展示資料数が尋常ではなく、かつ敷地(戦中のかつての敷地も含めて)全体がおそろしく広大です。また、富屋食堂は小さいながらもたいへん見応えがあり、時間を忘れます。

 ともあれ、昨今、政治や世論の動向、またいわゆる東アジア地域の関係は、なかなか難しいものがあり、ゼミ生たちの意見や考えもさまざまですが、たんに目の前に提示されているものをそのまま受けとるのではなく、その背後に隠されているものや選択からこぼれ落ちたものにまで想像力をめぐらせ、物事をいっそう複眼的・多角的に見られるようになってほしいと願います。今回、バスや鉄道や船を乗り継ぐハードなスケジュール、また帰りは大雨で予定していた電車がストップするなどもありましたが、学生たちはよくがんばりました。こういう経験を少しずつ積んで、来たる夏休みには、各人でさらにいっそう大きく羽ばたいてください。

ちなみに個人的には、指宿にて、幼少期からの念願の砂蒸し風呂に入ることができて勝手に万感の思いです。また、お世話になった民宿たかよしさん(お食事が本当に美味しかった!)、たいへん詳しい説明をお聞かせくださった海上自衛隊鹿屋航空基地資料館のご担当の方に、厚く御礼を申し上げます。

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拙著『社会的世界の時間構成――社会学的現象学としての社会システム理論』が、日本社会学史学会より奨励賞をいただくことになり、先日、尚絅学院大学(宮城県)でおこなわれた授賞式に出席してまいりました。

挨拶の言葉を何も考えていなかったため、その場でひとこと求められてまったくの言葉足らずになってしまい、お恥ずかしいかぎりですが、会長(当時)の三上剛史先生、奨励賞選考委員会委員長(当時)の浜日出夫先生をはじめ、拙著を選んでくださった日本社会学史学会の諸先生方、そして、筆者の研究を応援してくださった他の会員のみなさまに、これまでの多大なるご指導ご鞭撻も含めて、心より御礼を申し上げる次第です。また、今回の受賞式では、恩師の森元孝先生の前でとりあえずの「晴れ姿」をお見せできて、少しホッとしております。けっして要領がいいとは言えない不肖の弟子に長年ご指導いただきましたこと、あらためて深く御礼を申し上げる次第です。本当にありがとうございました。

拙著「あとがき」にも書きましたが、本書はほんとうに数多くの方々に支えられて日の目を見ることができました。今回の受賞もわたしひとりの功績では断じてありません。本書に見るべきところがあったなら、それは間違いなくそれらの方々の功績であり、わたしは言うなれば代理で受賞式に出席したにすぎません。お世話になったすべての皆さまに、この代理人から心からの感謝を申し上げるとともに、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻をあらためて何卒よろしくお願い申し上げます。

そして、この書が、社会学の発展に少しでも寄与できればと願います。

追伸
今回、時間的余裕がなく、ほとんどとんぼ返り同然で残念でしたが、仙台空港では震災の「記憶」をいくつか「発見」することができました。その一部について下に写真を掲げておきます。参考にしてください。が、いずれもたいへんひと目につきにくい位置にあります。震災関連の写真などを展示してある小部屋も半年前より開設されていますが、その位置もやはりひと目につきにくい場所にあります(対応してくださった係の方々はたいへん親切でした。ありがとうございました)。いろいろな事情や意見があるのかもしれません。いずれにせよ、こうした点に、復興や記憶をめぐる難しさがあるような気がしました。

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(左上写真は森先生ご提供。残りは多田撮影)