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先般上梓しました拙著『社会的世界の時間構成――社会学的現象学としての社会システム理論』を、Amazon では購入できないのかというお尋ねを受けておりましたが、先ごろ、在庫ありの状態になりました(2014年2月25日現在)。
http://www.amazon.co.jp/dp/4863390491/

わたしがしばらく前に確認したときは、1冊入荷されるもすぐにご購入された方がいたらしく、入荷待ちの状態がしばらくつづいたあと、いつのまにか「版切れ」のような扱いになっていました。が、このたび、ようやく安定供給(?)されるようになり、少し安心しています(ただ、まだ書影が掲載されていないので、下に掲げておきます)。

とはいえ、実際のところ、本書はたくさんの部数を印刷するような種類のものではありません。ご出版いただいたハーベスト社さんのご尽力、ならびに二箇所から出版助成を受けることができたこともあり、本書は、ボリュームとジャンルのわりにはかなりの低価格設定にしていただいていると思います(普通の方からすればそれなりの値段でしょうが、この点どうぞご理解ください)。ですので、ご関心がおありの方は、どうぞお早めにお求めいただければ幸いです。

なお本書は、「街角の普通の本屋さん」で手に入るという類の本ではありませんが、大手書店さんでは店頭にも並べていただいているので、どうぞそちらでもお手にとってご購入いただければと思います(店頭在庫の確認は各書店さんのサイトでおこなうことができます)。

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変態・変人たちの饗宴を丹念に描いていて本当に面白かった。例によって著者のバランス感覚は、社会学者の98パーセントくらいに爪の垢を煎じて飲ませたいものがある。それにしてもこの本の「主人公」である溝畑宏氏の仕事、少し自分の「サラリーマン」時代の仕事と重なった。言いすぎかな。

木村元彦『社長・溝畑宏の天国と地獄――大分トリニータの15年』
http://www.amazon.co.jp/dp/408780528X/


ついさいきんまで、とても読めないおかしな文章が増えたり大きな誤植をしたりしていた朝日新聞ですが、この2ヶ月ほどのあいだで急激によくなったような気がします。今日(2月15日)の朝刊に掲載されていた、映画監督・是枝裕和さんの以下のインタビューはとくに秀逸でした。個人的には、この1年のあいだくりかえし、なにより一昨日・昨日の卒業論文発表会で学生たちに伝えた内容にあまりにも重なっていて、勝手に少し励まされた気分になりました。

インタビュー 今こそ政治を話そう 「二分法の世界観」是枝裕和さん

http://www.asahi.com/articles/DA3S10979945.html?iref=comtop_pickup_04


卒論でも何でもそうですが、答えは自分の頭のなかにはありません。それはつねに自分の外、つまり世界の側に、徹底して調べきった結果として「発見」できるものです。そしてそうした諸々の発見ゆえに、執筆途中で自分のモノの見方や考え方がたえず修正を迫られ、変化していくのが、卒業論文を書くことの最大の意味です。普段からの映画鑑賞や読書を強く勧めるのも同種の理由です。

同じことは研究者にも当てはまります。これは私見ですが、上のインタビューで語られている内容は、われわれ人文科学・社会科学の研究者も自戒とともに受けとめるべきだと思います。同調圧力のもと、敵か味方かの二分法的世界観で、結論ありきで相手を(告発めかして)罵るのは、じつは「相手方」だけではないのですから。