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このたび、ハーベスト社より『社会的世界の時間構成――社会学的現象学としての社会システム理論』を上梓しました。2011年12月に博士号を取得した際の、同名の学位論文が元になっています。

本日2014年1月19日時点で、紀伊國屋書店さん丸善&ジュンク堂書店さんなどのサイトでは、すでにご購入いただけるようです。また、それらの主要書店さんでは、店頭にも並んでいるようです。

中身についてはわたしがいまここで語るべきことではなく、関心がおありの方がそれぞれ手に取ってご覧いただければと願う次第ですが、社会学の理論的・学史的な研究を、とにかく一歩、実質をもって前に押し進めることができたと思っています。あとがきにも書きましたが、「本当の初心者」の人びとがこの本に続いていってくれればと願います。本書はきわめて専門的で抽象的な内容ながら、社会学の理論に興味があり、かつ権威主義に陥ることなく自分の頭で考えながら勉強している人であれば、大学の学部生であっても十分に読んでもらえるはずです。

なお、本書をお読みくださった方に、ひとつお願いです。もし何か学術的なご意見やご批判、疑問点などあれば、できれば論文や著作などでそれを(遠慮なく)公にしていただきたいということです。むろん何かの折にわたしに直接それをおっしゃっていただくというのも構いませんが、しかしそれよりも、他の人も目にする公的な学術媒体のほうが、よりいっそう社会学の発展につながると思うからです。そしてもうひとつ、本書を書いたときの「わたし」が、すでに過ぎ去ってしまっているということもあります。いずれにせよ、無時間的な「書き手本人」を召還し、それに問いただすことで真理を確定しようとする現前主義よりも、偶然性をはらみながら公刊物から公刊物へと接続していくコミュニケーションの時間構成こそが、科学という社会システムの自己再生産によりいっそう寄与するだろうと信じています。

ともあれ、本書刊行に至るまでのあいだ、本当に多くの人にお世話になりました。あとがきには全員のお名前を書きたかったのですが、文字どおり数え切れないほどであり、今回はとくに研究界隈の方で、わたしが本当にしんどかったときに直接に声を掛けてくださったり助けてくださったりした方にかぎらせていただきました。どうかご寛恕ください。実際には、さらに多くの方々からご指導ご鞭撻をいただき、またいっしょに学ぶことでここまでやってこられました。そして、あとがきにも書きましたが、わたしの日常生活世界の「友人」たちには、さまざまな局面で言葉にはできないほど支えてもらいました。

よって本書は、わたし個人の産物ではなく、そのようにしてこれまで出会った方々のあいだの創発的な産物にほかなりません。研究者としてはようやくこれでひとつ、かたちにできただけにすぎず、まだまだこれからではありますが、まずはみなさまにあらためて深く御礼を申し上げます。わたしは多くの出会いに支えられて本当に運が良かったです。ありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願い申し上げます。

なお本書の装幀は、高校時代の同級生にして畏友・清水恒平(武蔵野美術大学オフィス・ナイス)に担当してもらいました。本書のイメージを反映した美しいデザイン、ありがとう。

tada - book - temporal construction
(写真)清水恒平


追記 2014/01/29
あとがきにも書きましたが、本書は、学部時代からの恩師である森元孝先生がいらっしゃらなかったらありえませんでした。その森先生に、まずはお褒めの言葉をいただいて、少しホッとしています。
http://wienmoto.at.webry.info/201401/article_3.html

分かる人間/分からない人間という二分法の世界のなかで、わたし自身は、分かる人間でありたいとずっと思い続けてきました。実際にどちらのカテゴリーに入るかは自分では何ともいえませんが、少なくともその思いが、同じように分かる人間でありたいと願って戦っている、とくにわたしより若い世代の人たちにつながればと願います。