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去る10月5日、米アップル社の元CEOであるスティーブ・ジョブズが亡くなりました。
インターネット元年とも呼ばれる1995年、大学2年生になったばかりのわたしは、ウィンドウズ95に沸く世間を無視して、マッキントッシュLC630という機種を購入しました。だから、わたしの人生の半分はアップルとともにありました。アップル社が経営難のときも、圧倒的多数のウィンドウズユーザーに白眼視されても、たとえマイクロソフト・オフィスが付属していなくても、仮にマック版オフィスを買ってもそれで論文を書くのが当時の学界でどれほど面倒なことであっても、わたしはずっとマックでした。

断言できますが、ウィンドウズはいまだに1995年当時のマッキントッシュの水準に到達していません。
むろん、それほどに素晴らしいOSを持ちながらシェアを獲得できなかったのは、辟易するほどのアップル自身の独善主義に起因するところもありますが、それでも、ウィンドウズがデファクト・スタンダード化したのは人類にとって不幸と言うほかありません。

幸いにも、iMac、そしてとりわけiPodとiPhoneにより、アップルという会社の先進性は広く知られるところとなりました。もともとジョブズは伝説的な人物ではありましたが、近年のアップルの成功は、今回の世間の追悼的反応に示されるほどまでに彼を神格化することとなりました。

わたしは彼をそのように神格化する気分はぜんぜんありません。
むしろ上述のように、マッキントッシュはわたしの半生においてつねに身近でした。そして若い時分に、世間の趨勢に逆らうかのようにその精神とともにいることができたのは、とても幸せなことだったと思います。

ハングリーであれ、愚か者であれ。
ジョブズが2005年にスタンフォード大学の卒業式でおこなった、有名なスピーチで出てくる言葉。わたしは、自分がマックを購入した時点からそうありつづけてきたと思っていますし、これからもそうありたいと思っています。

日本経済新聞が、そのスピーチの全文を掲載しています。ぜひ読んでください。そして、愚か者でいることのできない「賢い」ふるまいの人たちには、そのなかからとくに次の言葉を贈りたいと思います。

「あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです」





 ばたばたしていて更新が遅れてしまいましたが、先週末、西南学院大学にて開催された第23回デュルケーム/デュルケーム学派研究会・定例研究会(共通テーマ「デュルケーム――社会学方法論と生」)にて、報告させていただきました。
 わたしの報告題目は「一種独特の非物質性をめぐって――エミール・デュルケムの社会概念の展開のために」というものであり、デュルケムの専門家の先生方に囲まれてこの題目で報告をするのは畏れ多いところではありましたが、たくさんのコメントを頂戴し、議論が途切れることがなく、たいへん有意義な報告とさせていただくことができました。とりわけデュルケムの社会実在論と心理学との関係や、いわゆる「1890年代の世代」については、その後の懇親会でも議論が続行し、諸先生方のなかでも意見が分かれ、自分の提起したテーマが広がりのあるものであるとの確信も持つことができました。
中州・那珂川沿いの屋台での二次会も思い出深く、とても楽しい時間をすごさせていただきました。デュルケム研究という点ではまったくの門外漢であるわたくしにこのような機会を与えてくださったことに、大変ありがたく思う次第です。会長の大野道邦先生、拙報告のコメンテーターを務めてくださった油井清光先生、世話役兼司会を務めてくださった中島道男先生・江頭大蔵先生、一緒にご報告させていただいた菊谷和宏先生、鋭いコメントを寄せてくださった三上剛史先生、梅沢精先生、北垣徹先生、藤吉圭二先生、岡崎宏樹先生、池田祥英さんに、心から深く感謝を申し上げます。
 来春の東京での第24回定例研究会を楽しみにしております!