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珍しく告知をさせていただきます。
日本社会学会大会の余韻がまだ残っておりますが、来たる10月1日、デュルケーム/デュルケーム学派研究会にて、下記の要領で報告させていただく予定です。ご関心のある方はぜひおこしください(研究会終了後に懇親会も予定しているそうです)。

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■第23回
■2011年10月1日(土) 13:00~17:30
■西南学院大学 西南コミュニティーセンター 2階会議室  アクセスは→こちら
 
■テーマ:デュルケーム――社会学方法論と生
 
■プログラム:
総会 13:00~13:15
報告 13:15~17:30
(1)一種独特の非物質性をめぐって――エミール・デュルケムの社会概念の展開のために
   多田光宏(早稲田大学)
  コメンテーター:油井清光(神戸大学)
    司会:江頭大蔵(広島大学)
 
(2)社会科学の科学性と我々の生――デュルケーム社会学と不死性について
   菊谷和宏(和歌山大学)
  コメンテーター:梅沢 精(新潟産業大学)
    司会:中島道男(奈良女子大学)

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第84回日本社会学会大会(9/17-18 於:関西大学)が終了しました。
当初の開催校は早稲田大学の予定でしたが、東日本大震災と福島原発事故を受けて、春先に急遽会場を関西大学に変更しての開催でした。日本社会学会ならびに関西大学の先生方をはじめ、関係諸氏のみなさま、お疲れさまでございました。

さて本年度、わたしは昨年度に引きつづき、若手フォーラムにメンバーの一員として参加しました。企画した部会は全部で以下の4つ。

①<社会の社会学その1>「社会」とはそもそも何なのか?
②「東アジア」を調査する――社会学的想像力と方法の現在
③次世代研究者問題を語る――Sociology in Life
④<社会の社会学その2>フィールドのなかの社会学者――社会学者は何にどのようして社会を見出しているのか?

わたしが企画者のひとりとなったのは①②ですが、すべての部会に出席しましたし、それ以前に企画案そのものにも何らかのかたちでかかわり、大会当日まで、わたしを含めたメンバー全8人で何度も議論を重ねました。

われわれ8人に共通していたのは「従来の一般報告とはもちろん、テーマセッションやシンポジウムとも何か違ったことをやろうよ」という意識でした。とりわけ、事前にニューズレターや報告要旨集でも告知したように、フロアからの積極的な参加を促すものにしようという点で一致していました。壇上の若い院生の粗を探してつるし上げるとか、逆に偉い先生のご高説をありがたく拝聴するといった、よくあるタイプの形式は、それだけではもはや学問の発展に貢献しないどころか阻害する旧時代の遺物だと、おそらくメンバー全員が思っていたはず。

なので、新機軸としてツイッターやフェイスブックも使いましたし、またわたしの担当企画で言うと、たとえば①では、あえて部会のトピックと論題提起の中身を素朴なものにしてみたり、④では机をすべてどかして椅子の配置をラウンドにして、しかも討論者たちがみなバラバラに聴衆のなかに紛れて語り出す、というような一風変わった形式にさえしました。

おこしいただいた方々のなかには、本年度の若手フォーラムのこうした意図がうまく伝わらなかった方もいらっしゃったかもしれません。あるいは、壇上の人間たちからの何か一方的な新しい情報を期待された方には、もしかすると不満が残ったかもしれません。仮にそうした方々がいらっしゃったとすれば、むろんわれわれとしても反省すべきところではあります。

ですが、科学の営みもまた社会コミュニケーションの一種である以上、それは壇上の人間からの一方的な発話だけで成立するものではなく、受け手とのあいだで創発していくものなのです。つまり、受け手の積極的な関与があってはじめて、新しいものが創発していくはずなのです。科学であればなおさら、と思います。

時代は変わりました。

外国語を使って発表するとか論文を書くとかいうことが、研究の国際化とかグローバル化ではありません。言語は研究上のツールにすぎません。英語やドイツ語で書いたから論文の質が上がるなんてことはありえないでしょう。要するに、いままでのやり方をすべて根本から変えていかなければならないのです。そうした点では、日本の社会学がどんどん世界的な水準から取り残されているように思われてならないこの時期、とにもかくにもこうした日本社会学会史上にないであろうチャレンジングな企画に、主体的にかかわることができたのは、幸いであったと思います。そして実際、昨年度に引きつづいて本年度も、多くの方々がわれわれ若手フォーラムの部会におこしくださり、折に触れわれわれの試みに温かなエールを送ってくださいました。この場を借りて、心より感謝を申し上げる次第です。

また、ご多用にもかかわらず各部会でのご登壇を快くお引き受けくださった、佐藤典子さん、市野川容孝先生、左古輝人さん、有田伸先生、平田由紀江先生、坂部晶子先生、小内透先生、入江公康さん、渡邊太さん、齊藤誠先生(以上、ご登場順。敬称はわたしの普段使いのもので失礼します)には、あらためて深く御礼を申し上げる次第です。
とりわけわたしの担当部会にご登壇いただいた、佐藤さん、市野川先生、左古さん。突然のご無理なお願いであったにもかかわらず、ご快諾いただき、本当にありがとうございました(佐藤さんは昨年度若手フォーラムのメンバーということもあり、たいへん心強かったです。同じく昨年度メンバーの石阪督規さん、応援のご来場に感謝感謝です)。

そして、昨年度に引きつづきわれわれの若手フォーラムを陰から支えてくださった、日本社会学会の船橋晴俊先生、浜日出夫先生、蘭由岐子先生、飯島祐介先生、また理事会の諸先生方にも、心より御礼を申し上げます。企画立案や運営でご心配をおかけすることもあったかもしれませんが、あくまでお任せいただき、温かく見守っていただいて、のびのびと取り組むことができました。何よりこのような貴重な経験の機会を、わたしの場合は2年も与えていただいて、大きく成長できたと思います。この若手フォーラムの公募がなければ、去年も今年も、わたしはただ何となく、他の方の学会報告を聞いていただけで終わっていたかもしれません。大学にも学界にも余裕と余力が失われていくなかにあって、なお次世代の研究者を育てていこうとされる先生方のご期待に添えるよう、今後とも研鑽に努めたいと思います。

最後に、本年度のメンバーである、大倉季久さん、鶴見太郎さん、松井広志さん、松田ヒロ子さん、皆吉淳平さん、長松奈美江さん、柳原良江さん(五十音順)。この半年間、本当にありがとうございました。自分の日頃の研究ではあまり直接には関わることのなかったであろう皆さんたちと、これほどに深く社会学的な議論を交わすことができたのは、刺激的で、わたしにとって大きな財産です。何より、あまりに強烈すぎる個性の面々に囲まれて、真面目な話からバカ話までとにかくいろんなことをおしゃべりし、いつも笑いが絶えず、そして何かと理由をつけて酒を飲み(笑)、とても楽しく充実した日々でした。皆さんたちといっしょに仕事ができてよかった。心からそう思います。

今日からふたたびそれぞれの研究領域に戻りますが、また、いつかどこかで。